-連載エッセイ−退屈な景色−
第221回
(2008/6/29)
文:禿山サトル
「土合駅」
先週、群馬に旅行に行ってきたと書いたが、群馬県利根郡みなかみ町の「土合駅」なる駅に行ってきた。
ここはJR東日本上越線の無人駅なのだが、もぐら駅として有名で、私が行った時も私達以外の観光客の姿があった。
この駅は下りホームに秘密があるらしい、なので上りホームは至って普通のいわゆる田舎の無人駅の雰囲気であった。(今週は久しぶりに画像を載せてみました、画像をクリックするとちょっとだけ大きなサイズになります)

土合駅上りホーム

土合駅上りホーム付近(左手が駅舎)

構内にはこんな看板も
もぐら駅と聞くと、地下鉄を思い浮かべる方も多いかもしれないが、ちょっと違うらしい。
この土合駅は改札と下りホーム(新潟方面)の標高差が70メートル近くあるのだ。
70メートルの標高差があるので、改札を抜けてから下りホームに行くには長い長いトンネルを下っていく事になるのだ。
同行した鉄道マニアのN君に説明を聞いたのだが、地下鉄とモグラ駅の大きな違いはよくわからなかった。
まあとにかく地下にホームがある駅なのだ。
上りホームは普通だったのだが、下りホームへと続くトンネルに着いて驚いた。
トンネルの先がとても遠い、深い深い地下へと通じる秘密の抜け穴という感じで、一人で来ていたら恐くて引き返しているかもしれない雰囲気。

長い長い下りトンネル

長い長い下りトンネルを下から
ピチャピチャと水のしたたる音も聞こえて、駅のホームへ向かうというより洞窟の中に入ってきたような感じであった。
そしてとにかく長い、なんと途中にベンチまであるのだ。
改札から下りホームまでは10分かかるという表示があったのだが、トンネルを下っていくと時間感覚が狂ってくるので30分くらいかかったような気がする。
階段を降りていくとそれに比例して気温はドンドンと下がっていく。
これから私はどうなるのだろうか?ということを考えつつひたすら足を動かし、やっと底に着いた。
トンネルの底には横方向に電車のホームが伸びていた。

土合駅の底
そしてなんと下りホームには霧が立ち込めていた。

水もしたたる土合駅
土合駅の駅名表示の看板には、霧のせいで水滴がびっしりとはりついていた。
この無人駅にも毎日利用する人がいるはずで、その人達はこのトンネルを下りたり上ったりしながら何を考えているのか非常に気になった。 写真で雰囲気が伝わるかは不安なのだが、すごいでしょう。
まあとにかくこの土合駅は普通の駅にはない、「なんらかの強烈な個性」のようなものがあった。
私にはこの土合駅を訪れたショックがまだ続いている。
1日に何度もこの土合駅の事が頭に浮かび、気になって仕方ないのだ。
何だったのだろう、アノ駅は。

土合駅前広場

■禿山サトル
紹介:1980年生まれ、井の頭公園の近くに住む。つげ義春が大好き。カレーライスとタコライスも大好き。
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